風の吹くまま

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あれもこれも挑戦してみたい今日この頃。

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森下洋子さんの舞台を見てきました。
夏休み中の子供のための舞台、バレエを初めて観る人対象…という舞台でした。
演目は「新・白鳥の湖」と「くるみ割り人形」のハイライト。(森下さんが踊ったのはくるみ割りのクララ)

最初にトークの時間があり、出演者たちが舞台衣装を着けて登場。
そういう格好でマイク持ち、皆様可愛らしい声で話すので、なんかちょっとA葉原的な世界に迷い込んでしまったような錯覚を一瞬覚える(笑)。
森下さんのお話に聞き入るうちに、その感覚はなくなりましたが。
21年くらい前、彼女の白鳥を初めて見たんだよなぁ…とか思い出したり。

正直、舞台が始まってすぐは、ややげんなりしていました。
舞台、ではなく客席の状態に。
 照明が落ちたら喋らない、声のトーンを落とす。
 音楽が始まったら、私語はしない。
 舞台が始まったら、立ち上がったり、振り返って後ろを見たりしない。
 トイレは幕間に済ませる。
 無駄に咳払いをしない。(これは大人ね…。静かなシーンでやらないで欲しいのです)
…などなど。
それくらいのマナーは守ってくれ。
というか、子供の行動は親なら注意してよ…。そういうことを覚えるのも、舞台鑑賞の勉強だと思うんだけどなぁ。
会場のスタッフもイマイチで、上演中に頻繁に出入りするし(怒)。

ただ、舞台は。
上記したイライラも払拭するに十分な素晴らしいものだったと思います。

白鳥は群舞がきっちり揃っていて、素敵だった。
でもこの時点では、動きが複雑じゃないからきっちり揃えることができるんじゃないか、とかチョッピリ穿った見方をしていました。
舞台全体の空間を上手く使い、ダンサーたちがビシっとポーズをとるところでは、バレエって舞台芸術かつ造形芸術、と再発見した思い。

そして、くるみ。
身体のライン・スタイル、テクニック。確かに、若い子の方がそれらは優れている。
森下さんは、水香ちゃんのように高々と脚を上げないし、ラカッラのように支え手なしにピタリと静止し続けたりしない。
ただ、どうしてだろう。
私にも本当に分からないのだけれど、なぜか、今日は舞台を見ていて、胸のあたりに『くぅぅ…』と響いてくるものがあって、それがたまらなかった。
何にそんなに心を動かされたのだろう。
体重が無いみたいにふわりとリフトされる姿?
彼女の笑顔?
それとも、彼女がこれまで積み重ねてきた長い長い日々を思ったから?
どれも当てはまっているようで、やっぱりどれも違うと思う。
あのとき、言葉を発しようとしたら「嗚呼」としかいえなかったのだろうけど、なんかそれだけで必要十分で、それ以外に言いようも無い感覚。

清水さんはソロが辛そうだったし、森下さんは彼ほどではないけれど、あれいま苦しいのかな?と思うところがあったように思う。
それでも、二人で踊るところは本当にタイミングもバッチリで、彼女がとても綺麗に見えていた。

くるみに至って、群舞が素敵だっ!と心の中で大絶賛。
揃ってる。隊形の移動・変化も素早く鮮やか。
それぞれの踊りもお衣装も可愛かったな。
アラビアの踊りは、男性ダンサーのさりげない(?)サポートが凄かった。
バランスを支えるような手で、実はダンサーの脚をもっと高く…と上げてた。
踊っている子も勿論上手だし、身体が柔らかいのですが、「いやー、もっと上がるでしょ。ほら」とか「ハイ、息吐いて。あと一息」とかいう声が聞こえそうだ、とか思ってしまったよ。
お茶、可愛かったな。布の動きをそろえるのが大変そうだけど、綺麗に波打ってた。
花のワルツはやっぱり綺麗。

そして、フィナーレ。
年末を彩る音楽があふれ、次々と登場するダンサー。
そして、森下さんの踊りを見ていて、唐突に思ったこと。
  バレエは楽しいものなんだ。
なぜ、そんな言葉が降ってわいたように胸に浮かんだのか分からない。
今までも私は十分にそう思っていたし、だからこそ時折舞台を見に行くというのに。
ただ、バレエはとてもとても楽しくて、本当に心から楽しめるものなんだ、と思ったら、不意に涙腺が緩んでしまって、久々にバレエで泣きました。
悲しい演目で泣いたことならあるけれど、くるみ割りでどうして自分が泣いているのか分からず、でも、バレエを楽しいと思えたことと沢山のありがとうを森下さんに伝えたいなぁ、とかとりとめなく思いながら、暫く涙腺が故障したまま。

そのあとには大サービスで、ダンサーが舞台から降り、ロビーで観客に挨拶をしてくれました。
こんなの初めてだーvvv
ドーランの匂いに「うっわ、懐かしい」と思いつつ、見上げれば森下さんの顔。
ようやく収まったなにかが、またぐっとこみ上げてきて、うるっとしながら手をふりました。
幼稚園生くらいだったら、ありったけの思いを込めてレベランスできたのにな。
人目や外聞を気にする大人になってしまって残念。

今日のことは、きっといつまでも忘れないと思います。
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by ami-cizia | 2007-08-21 23:06 | まひ(舞)

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