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風の吹くまま

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あれもこれも挑戦してみたい今日この頃。

至上

昼間のショッピングセンターは混んでいる。
特に、フード・コートは昼食をとる人々でいっぱい。
休日だから、家族連れでいっぱい。

ようやく空席を見つけて
そして空気に急かされるようにして
栄養素を取り込む

と。
隣の机が空き、そしてそこの座席に女の子が
ちょこんと乗せられたのが気配でわかった。

「待っててね」

おそらく母親の声。
女の子はご機嫌なのか、
ぷらんぷらん
と軽快にゆれる足が
私の目の端に映った。

黙々と食事を続けていると

コチ

と床下でプラスチックの音がした気がした。

目を遣れば、
ペットボトルの蓋1つ。

チラリと左を見ると、
幼女が蓋の無いペットボトルを抱えて
『あ”』
という顔をしている。

ああ、落としたのか。

自分で拾えるかな?
一瞬考えて、いや、椅子の高さと彼女の幼さからして無理だろうと、判断する。

ひょい、と拾ったものを机の上に置いて、
私はまたセカセカと食事を続けるつもりだった。

けど。


花が咲くように笑うとか。
太陽の微笑みとか。
いろいろ形容はあるけれど。

そのどれにも当てはまって、
どれにも当てはまらないような。

ふわふわで
こちらまで ふわふわにとろけてしまいそうな
そんな至上の笑顔を向けられた。


セカセカとか。
喧騒とか。
暑くってうだっていたこととか。
ぜんぶぜんぶ忘れて。
こっちも なんとも幸せな気分になる。

「ありがとう」とか「すみません」とか
社会で生きていくには必要不可欠な言葉だけれど、
幼子のただの笑顔のまえには何と無力にみえることか。

人は長じるにつれ
本能の、笑顔の効力を失うから、
仕方なくことばを使っているのかもしれない。


食事を終えて席を立つ。
無敵の能力を持つ幼子を
わたしは羨望のまなざしで見上げた。
by ami-cizia | 2005-06-12 23:12 | ことのは(言の葉)

あれもこれも挑戦してみたい今日この頃。


by ami-cizia